Nonkunのブログ

主にゲーム関係について書いてます

 ライトノベルって何?

これを語れるほど知っているわけでもないことを断りつつ、ちょっとだけライトノベルについて考えたい。

あるブログでライトノベルを熱く語っている文章に出くわしたのがきっかけで『ライトノベル完全読本』を買ってみた。現在ライトノベルは文庫出版の20%弱を占めるという。実際ライトノベル出身者には直木賞など受賞した作家もいるぐらいで、素人には一般文芸書とは区別がつかない。まぁ、顔が潰れたアニメ絵が描かれている文庫本ってことで差別化は図られているみたいだが。

軽く驚いたのが、ガンダム小説もライトノベルに分類されていること。結局『ライトノベル』という名前を知らなかっただけで、読書体験の中に結構入り込んでいることがわかる。それだけ自然と区別することなく読んでいたということだろう。

例えばいわゆるライトノベルというやつで僕が読んだ本は『ガンダム』『銀河英雄伝説』『ブギーポップは笑わない』『キーリ』『バッカーノ!』、そして今回買った『マルドゥック・スクランブル』と『撲殺天使ドクロちゃん』ぐらいか。ほとんど司馬遼太郎かミステリぐらいしか読んでなかったのでライトノベルって基本的に近づきにくいというかなんというか。ほんと、あのアニメ絵だけやめて頂ければ気軽に買えるのだけれど。

読んだきっかけも『なんとか大賞受賞!』みたいな帯を見て「ふーん、どんな内容なんだろうな」という気持ちでなんとなく買ってみただけなんでたいした思い入れもない。ただ、物語消費手段としてライトノベルはゲームを遙かに凌駕する作品数と多彩な内容を持つことは確かだ。ゲームにそのようなものを求めていないのであれば別にかまわないが、その内容は極めてゲーム的でありアニメ的である。

もう完全にアニメと言っていい。小説、マンガ、アニメ、ゲーム、そしてまた小説に戻った感じがある。それぞれに培われた表現方法やファンタジーの手法をそのまま小説にぶちこんでいる感じだ。文章なので出来上がるのも早い。恐ろしいほど多数の作品が大量に棚に並んでいる。もちろん、消費も早いだろう。だからライトノベル…というと差別につながるのかなぁ。大量生産、大量消費、次々と面白い物語を求める消費者にとってライトノベルは格好のメディアになっている。

今回読んだ『マルドゥック・スクランブル』と『撲殺天使ドクロちゃん』は完全にアニメだった。僕には、作者が頭の中で上映されているアニメを文字に書き写しているように思えてならない。別にそれがどうというわけではないが、表現に重きを置いている小説はどうしても印象がアニメになる。アニメは絵で見せなければならないので、その分表現方法が重要になる。そこに平凡なサラリーマンの日常が描かれてもアニメにする意味がない。巨大ロボットが出るだけで絵になる。不思議な少女が肌を露出するだけで絵になる。そしてライトノベルにも絵的な描写が必要になる。それは絵で読んでいる読者のニーズに応えているのだろう。

簡単に感想を書くと、『マルドゥック・スクランブル』は3巻完結の一巻目なのでこれからなのかも知れないが、ちょっと新鮮味に欠ける。慰みものにされた少女が兵器に変形できるネズミと共に敵と戦うというものだが、途中でいきなり強大な力を手に入れてしまうのが興ざめだった。もちろん、敵にもとんでもない強いのがいて、やっぱりそいつに一回やられるのだけれど。一回むちゃくちゃにやられて次に倒すってのは王道なんですかね。強大な力を好き勝手に使うとそのネズミが拒絶反応を起こすというのは面白いと思う。ただ、少女の心が空っぽであるというのがネックで、いきなり自我を表現されると読んでるほうがドキッとしてしまう。とことん悲惨な過去を少女に課しても、それに対して彼女がどう思っているのかを書いてくれないと読んでいるほうはとまどってしまう。そういうことも含めて、次につながるんだとは思うが。

撲殺天使ドクロちゃん』はドラえもんのパロディー。ドラえもんがエロゲーの少女だったらという設定で、しかも主人公を殺しに来たというもの。こう書くとホラー小説みたいだが、極めて軽く生き返らせることができる。ようは、ラムちゃんの電撃の代わりに棍棒で殴り殺す感じだ。ま、アニメ的表現方法ってやつですな。描写はとても生々しく、頭が割れ血が流れ内臓が腹部からずり落ちるような表現を使っているが、まったく痛みを感じさせないのはそれがただの表現だからだ。何の中身もなく意味もない。ただの表現、からっぽの文章。それを意図的にやっているということで評判になっているみたいだけど、ほんとかね。まあ、ちょっと自分の歳ではきつい内容です。でも、対象は恐らく20代なんだろうなぁ。悪魔超人とか若い人知らないだろうし。

ゲームもそうなんだろうけど、やっぱりビジュアル重視なんだろうか。語るほど読んでないので断定なんかできませんが。一応現実の法則に従っているのか、非現実なのかというところで一般文芸書とライトノベルとの線引きがなされているのかなという漠然とした感じは受けます。ただ、いい歳した大人が読むに足るかというと…。んー、まぁもともと若い人向けなんで別にいいのかな。

マンガ、アニメ、ゲーム、ライトノベル、で、またマンガ、アニメ、ゲーム…とつながるひとつのサイクルの重要な要素としてライトノベルは位置していると思います。メディアミックス(ってまだ大丈夫な表現だよな)のひとつとして生まれ、それがまた新たな分野への足がかりになるという意味では、ライトノベルは無視できない存在なのではないでしょうか。

…なんだこの締めは。