Nonkunのブログ

主にゲーム関係について書いてます

もうひとつのTVゲーム改革

ぼちぼちPS3が発売になるというのに、全くその空気を感じさせないのはソニーの新しい販売戦略なんだろうか。ということはどうでもいいとして。

次世代機がHDTVに対応するべくグラフィックスの表示能力を合わせるというのは映像を動かして楽しむTVゲームの宿命とも言えるけれど、『見た目』の勝負というのは案外泥試合に展開する可能性が高い。

例えばそれは価格競争と同じで、「現状と比べていくら安いか」というようにあくまで比較されて価値があるものだ。一万円の商品が五千円になれば価値があるが、相場が五千円で安定すればなんの価格競争力も持たない。HDのグラフィクスがユーザーに浸透すれば、それはHDTVで表示するのだから当然となる。じゃあ、その先にあるゲーム性というイデアみたいな世界の評価というのは、結局我々の目には見えない形而上世界の話になる。

と、こんなわけのわからないことを書かずとも、ようは『面白いか面白くないか』という極めてわかりやすい結果を導き出せばいい。

そこで、本題のTVゲーム改革に挑戦する『wii』の登場というわけだ。

HDTVは高解像度であるとともに、多くの場合薄型で大画面という特徴がある。Xbox360PS3はこの特徴を生かしているだろうか。いや、大きい方がいいと思うだろうけど、これも結局は上のような理由で陳腐化する。

wiiはこれを「ゲーム内」ではなく「ゲーム外」に意味を持たせた。つまり、HDTVが置かれるであろうリビングにおける遊び方を作り出したのだ。それが『wiiリモコン』である。

それにしても、十字キーと数個のボタンで繰り広げられた様々な冒険はすばらしい体験だったと思う。これだけで野球も出来たしサッカーも出来た。文章を読むことも出来たしドラゴンと戦うこともできた。すばらしいインターフェースであり発明である。それは二〇年間ユーザーとゲーム世界をつなぐ重要な道具だったし、これからもその役目を終えることはないと思う。

しかし、もうひとつの可能性、ゲームと僕らをつなぐ別の可能性があるのなら、ぜひ体験したい。そう思わせるだけの力がwiiにはある。先日名古屋で行われたwii体験会が大変な盛況だったこともwiiの魅力とユーザーの期待感を表していると思う。

結局これは、ファミコン時代には脇役だった光線銃やファミリートレーナーといったアミューズメント的楽しみ方が主役になってきたということなのだろう。ゲームそれぞれに専用コントローラーを買わせるよりもそれらを代用できるコントローラーがあればいいということ、またコントローラーからゲームのアイディアを生み出してもらおうという考えは、あらゆる体験を可能にした十字キーコントローラーに対するひとつの挑戦だ。そして人々は往往にして挑戦者を応援するものである。

ゼルダのCMを見て感じたことは、画面はほとんど既存の3Dアクションゲームと同じなんだけれど、それを『wiiリモコン』で遊んだらどうなるんだろうという期待感だった。というより、リンクと一緒に釣りがしてぇ、という。

次世代機レースはもうスペックがどうで価格がどうとかではなく、『wiiリモコン』に興味があるかないかで決まってくるのではないか。それがゲームファンと呼ばれる人々の間を切り裂く踏み絵のような存在になっても仕方がないと思う。

このような従来のコントローラーからの脱却という流れは、何もDSのタッチペンなどではなく『遊び』という観点からの再発見である。遊ぶことに対してコンピューターゲームはどのような貢献が出来るのかという一段階視野の広い話なのだ。現在カードゲーム全盛時代という現象も、そのような相互協力のたまものだと思う。

ゲームはあきらかに「ゲーム内」だけではなく「ゲーム外」とのつながりを求めてきた。「ゲーム内」での行き詰まりはMMO型オンラインゲームという形で決定的になってしまった感がある。新しいインターフェースによるゲーム性の創造は非常にわかりやすいし、何より楽しそうである。

ああ、はやくゼルダで釣りがしたい…(二度目)。